日々のモノゴト

Twitterには書ききれなかったことを書いていきます

さよなら20代。よろしく30代。

僕の20代が終わった。30歳だから急に何かが変わるわけじゃないが、20代を振り返らねばと急に思い立った。

10年分のメモ書きをみると、関心のある領域は今と同じだ。音楽や漫画、テレビや展示など好きなものも変わらない。

それでも20代を通じて変わったものがある。自分への理解だ。少しずつ時間をかけて分かったこと、そう今日は自分のために武富陵一郎のことをまとめてみた。

根本思想はポジティブな虚無主義

僕は「人生は楽しくあるべきだ」と強く思っている。
ただしポジティブハッピー野郎なわけではない。

世の中は不条理だし、簡単に誰もが楽しく生きることはできない。それはわかっている。

世の中は曖昧で不公平なルールばかりだし、同じ日々が繰り返される退屈さもある。どうにもならないことの連続だ。

それでも楽しくなきゃダメだ。せっかく生まれたんだし。と、希望と諦めが同居している。どうも面倒な考え方である。

そう考えていく年か経ち、Wikipediaでピッタリの言葉を見つけた。虚無主義「強さのニヒリズム」の項目である。

『すべてが無価値・偽り・仮象ということを前向きに考える生き方。
つまり、自ら積極的に「仮象(現象)」を生み出し、一瞬一瞬を一所懸命生きるという態度』
ニヒリズム - Wikipedia

ロクでもない世の中だけど、考え方を変えることで、どうにか楽しく生きようぜ。思いきり自己解釈すると、これが僕の根本思想にある。

退屈な日常に向かい合うための言葉

では、どうやって現実を楽しくしようか。考える上で、ふたつ大事な言葉があった。

■変わらない現実のために視点を変える

ひとつめは父親の言葉だ。中学の時、在校生の親が「働くこと」をテーマに話す会があった。

そこで父親が話していたのが「自分のものさしを作れ」という言葉だった。

何に楽しさを感じるかは、その人次第だ。世の中は簡単に変えられないけど、自分の思考や視点は変えられる。

同じ通勤路でも何か(赤色でもお花でも何でもいい)に注目して歩けば、普段と違った道に思える。視点を変えるだけで日々は変わる。自分なりの尺度を持つことで、より楽しく生きれるのではないかと思った。

自分のものさしは、大変だけど自分で思考して見つけるしかない。新しい経験や情報が考えを深めてくれる。これが僕の、知的欲求をエンジンに新しい経験や情報を楽しむ姿勢につながっている。

メディアづくりを続けるのは情報を届ける側にいれば、自然と新しい出会いがあるからだ。

■生きづらい現実のための物語

ふたつめの言葉は、ある編集者の言葉だった。ニュースメディアの編集と営業を経て、今度は物語づくりに関心がでていた。

そんな時とある記事で、小学館の漫画編集者である畑中さんが「物語には、現実逃避と現実直視のふたつの型がある」と言っていた。これもずっと記憶に残っている。

世の中のコンテンツは、生きづらい世の中を少しでも楽しくするもの。どうにか楽しく生きられないか、という僕の根本思想にもピッタリだ。

どうにもならない現実に対して、知識が武器になるなら情報を届けたい。現実に向き合うのが辛いなら、しばし現実を忘れて没入できる物語を届けたい。

言い換えれば、娯楽と教養を届けることで、ロクでもない世の中を少し楽しくするお手伝いがしたい。20代をかけて気づいたことだ。

プロデューサーとして楽しく生きる

では、具体的にどうすれば良いのか。今後も考え続けることだけど、20代をかけて自分の向き不向きもわかってきた。

■(1)カオスで優しい場づくり

メディアやコミュニティづくりを通じて「場」づくりに強い関心があると気づいた。いろいろなモノ・ヒト・コトが混じり合い、何が生まれるか分からないカオスな空間をつくること。それはオンライン/オフライン関係なく魅力的なことだ。

自分が中心ではなく、みんなにとって心地よい場をつくり、そこから生まれる化学反応を最前列で楽しむこと。創ると稼ぐを両立させて持続可能な場をつくること。

それは仕事だろうとプライベートだろうと関係なく退屈な日常を楽しくする。そんな場づくりのできるプロデューサーになりたい。

■(2)農耕型のプロデュース

自分がコツコツと価値を高めるような農耕型のプロデュースが向いていると気づいた。大きな夢を広げつつ、コツコツと焦らずに育て続けること。

はじめの5年はWebメディアだったけど、CHOCOLATEでやったYouTubeでもキャラづくりでも変わらない。目の前のことに向き合いながらも、未来に向けた種まきをする。虫の目と鳥の目の両方で物事をみていきたい。

■(3)越境と掛け算による新結合

人が勝手に集まってくるような才能はないので足を使う。柔軟性と好奇心をもってジャンルの垣根を超える。越境してあつめた武器を組み合わせて、みんなの気づかなかった組み合わせを見つける。

ありがちの逆の"ないがち"を一生懸命みつける。そんな泥臭い戦いの中で、新しい価値をつくっていきたい。

おわりに

振り返ると20代は好奇心のままに、自分の価値観をみつける日々だった。関わったことがすべて成功したわけではなく、たくさんの失敗と迷惑のうえに成り立っている。それでも良い20代だった。

30代もやることは変わらない。色々な人と色んなことをやりたい。気の合う仲間をみつけて楽しさと辛さを共有したい。

そんな日々の連続を積み重ねた先に40歳があるのだろう。20代でお世話になった方への感謝と、新しい出会いに期待しながら30歳初日が終わる。